2025年TikTokで話題沸騰のイタリアン・ブレイン・ロット(Italian Brain Rot)」の正体は何?

「イタリアン・ブレイン・ロット(Italian Brain Rot)」という言葉は、インターネットカルチャー、特にTikTokやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSを通じて近年急速に広まったスラングで、特定の映像や美学、音楽、言葉遣いなどによって脳が“溶ける”ような感覚を指す、ある種のミーム文化の一部です。これは真の医学的な症状ではなく、「強烈に中毒性がある」「何も意味がないのに何故か魅了される」といった、シュールで過剰な感性への愛着を茶化して表現した言葉です。

どこでいつ生まれたの?

「イタリアン・ブレイン・ロット」という言葉は、英語圏のSNSユーザーの間で2022〜2023年頃から急速に使われ始めました。

このフレーズは「Italian(イタリア風の)」と「Brain Rot(脳腐れ、脳が腐るほど何かに夢中になること)」を組み合わせた造語です。

特にTikTokでは、「#italianbrainrot」というハッシュタグで、何とも形容しがたいビジュアルや音楽、CM、映画シーン、90〜2000年代初期のイタリア文化が持つ独特の美意識や過剰さに熱中する現象を指して用いられています。

どんなコンテンツが「イタリアン・ブレイン・ロット」なの?

このジャンルには明確な定義はありませんが、よく見られる要素として以下のようなものがあります。

  • 過剰な美意識や感情表現
    イタリアの映画、CM、音楽ビデオに見られるようなドラマティックで情熱的な演出や演技がよく使われます。
  • 2000年前後のレトロ感
    VHS風の画質、90年代~2000年代初頭のファッション、イタリア製テレビCM、ダサかっこいいエフェクト、安っぽいCGなど。
  • イタリア語の響きそのもの
    内容がわからなくても、イタリア語の音の滑らかさや情熱的な響きが中毒的に感じられるという点がポイントです。
  • 音楽の使い方
    イタリアのディスコミュージックやポップ、ラウンジ音楽、エンニオ・モリコーネのような映画音楽などが使われることが多いです。
  • 意味のない深さ、または意味ありげな無意味
    コンテンツ自体はナンセンスで、ストーリー性がなくても、「何か深い意味があるように錯覚する」ような演出がされています。
  • 例:
  • イタリアの男性がバイクに乗って叫びながら走る映像
  • セクシーすぎるジェラートのCM
  • サングラスをかけた老人がエスプレッソを片手に踊るショートビデオ
  • 映画『La Dolce Vita』や『Suspiria』のカラフルで夢幻的なシーン

「ブレインロット」とは?

そもそも「Brain Rot(脳腐れ)」という言葉は、SNSやインターネットミーム文化でよく使われる比喩表現で、「意味のないコンテンツにハマりすぎて思考力が低下している状態」を自嘲的に表現したものです。

「TikTok脳」や「YouTube Shorts中毒」といった現象も同じカテゴリに含まれますが、「イタリアン・ブレイン・ロット」は、そこにヴィジュアル美学とノスタルジー、異文化への憧れが加わった一種の文化的現象となっています。

なぜ「イタリア」なの?

イタリアという国は、世界的に見ても非常に豊かな視覚文化・映画文化・ファッション・音楽を持っています。特に70年代〜90年代のイタリアのカルチャーには、官能性・過剰な装飾性・宗教性・暴力性・愛情の爆発的な表現など、視覚的・感情的に過剰ともいえる演出が多く見られます。

このような文化的背景をもとに、現代のZ世代やα世代が「面白がって消費する」形で、「イタリアン・ブレイン・ロット」は作られているといえるでしょう。

文化的意義と今後

「イタリアン・ブレイン・ロット」は一見ナンセンスに見えるかもしれませんが、実はポストモダン的な消費文化の象徴でもあります。
意味がなくても見てしまう、わけがわからないのに美しいと感じてしまう──そうした感覚がSNS時代の「現代的快楽」として流通しているのです。

これは日本における「シュール系ミーム」や、「Vaporwave(ヴェイパーウェーブ)」、あるいは「昭和レトロミーム」などと似た性質を持っており、過去の文化を再構築し、再消費するという現代のアプローチを象徴しているとも言えるでしょう。

まとめ

「イタリアン・ブレイン・ロット」とは、単なる奇妙な動画の流行ではなく、ノスタルジー、美学、ナンセンスの融合によって生まれる“視覚的・感覚的中毒”を楽しむ、現代のユーモアと感性の表れです。

何か深い意味を持つわけではないが、そこに心を奪われる──
そうした感性に「脳が腐るほど魅了される」瞬間こそが、まさにこの現象の本質なのです。

日本ではAI都市伝説「イタリアンブレインロッド」として話題になっています。

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