2025年最新【徹底解説】加熱式タバコ特有の害とは?―“煙がないから安全”は本当なのか

近年、紙巻きタバコに代わって急速に普及している加熱式タバコ(IQOSやgloなど)
「煙が出ない」「ニオイが少ない」「健康への害も少ない」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。

しかし、実際には加熱式タバコにも特有の健康リスクが存在します。本記事では、そのメカニズムと科学的知見、そして利用時に注意すべきポイントを詳しく解説します。


加熱式タバコとは?

加熱式タバコは、紙巻きタバコのように火をつけて燃やすのではなく、専用デバイスでタバコ葉やニコチン液を加熱し、発生する蒸気を吸引する製品です。
一般的に加熱温度は200〜350℃程度で、紙巻きタバコの燃焼温度(約800℃)より低いため、煙や灰は出ません

そのため、

  • 副流煙が少ない
  • ニオイが軽減される
  • 一部有害物質が減少する
    といったメリットがあるとされています。

しかし、「燃やさないから安全」という認識は誤解を招きやすく、実際は燃焼とは異なる形で有害物質を発生させています。

加熱式タバコ特有の有害物質

加熱式タバコでは、燃焼ではなく加熱による化学反応が起こります。その結果、紙巻きタバコとは異なる種類・割合の有害物質が生成されるのが特徴です。

代表的なものは以下の通りです。

ホルムアルデヒド(formaldehyde)

  • 発がん性があるとWHOが分類
  • 加熱式タバコの蒸気にも含まれ、気道や粘膜を刺激する

アクロレイン(acrolein)

  • 強い刺激臭を持つ物質
  • 呼吸器障害や炎症の原因となる

グリセリン由来の化合物

  • 加熱時に分解して有害成分を生成
  • 高温加熱で微細な粒子(PM2.5)を発生

💡 ポイント
紙巻きタバコに比べて一部物質は少ないものの、加熱式タバコ特有の物質が新たに発生するため、単純な「害が減った」とは言えません。

ニコチン依存は変わらない

多くの加熱式タバコ製品はタバコ葉を使用しており、しっかりとニコチンを含有しています。
ニコチンは脳に作用して依存を形成するだけでなく、心拍数や血圧を上昇させ、心血管系のリスクを高めます。

さらに、加熱式タバコは煙の刺激が弱く吸いやすいため、結果的に吸引回数や使用時間が増え、ニコチン摂取量が紙巻きタバコと同等かそれ以上になるケースもあります。

長期影響はまだ未知数

加熱式タバコは2010年代から市場に本格登場した比較的新しい製品です。そのため、長期的な健康影響に関するデータはまだ十分に揃っていません

  • 心臓病やがんリスクへの影響がどの程度か
  • 妊娠・胎児への長期的な影響
  • 慢性呼吸器疾患との関係

これらは今後の疫学研究で明らかになる部分が多く、現時点では「安全と証明された」とは到底言えません。

受動喫煙の問題

加熱式タバコは紙巻きタバコより副流煙が少ないと言われますが、まったくゼロではありません
周囲の空気中にはニコチンや微粒子、有害化学物質が含まれ、特に密閉空間では他人が吸い込む可能性があります。

WHOや日本の厚生労働省も「受動喫煙を防ぐため、加熱式タバコも規制対象」としており、飲食店や公共施設での使用禁止エリアが拡大しています。

「禁煙サポート」としての誤解

一部のメーカーやユーザーは「紙巻きタバコから切り替えることで健康リスクを減らせる」と宣伝・主張します。
確かに、有害物質の量が減るという研究結果はありますが、それは完全禁煙と比べれば依然として高いリスクです。

禁煙を本気で目指すなら、加熱式タバコを経由するよりも、

  • 禁煙外来(ニコチン代替療法)
  • 禁煙アプリやサポートグループ
    などを活用する方が確実性が高いと考えられます。

ホルムアルデヒド(Formaldehyde)の有害性

ホルムアルデヒドは常温で刺激臭を持つ無色の気体で、建材や防腐剤、接着剤などに広く利用されています。吸入すると目・鼻・喉の粘膜を刺激

国際がん研究機関(IARC)はホルムアルデヒドを「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」に分類しており、特に鼻腔がんや白血病との関連が報告されています。長期的・反復的な吸入は慢性的な呼吸器障害や皮膚炎のリスクを高めます。

加熱式タバコや電子タバコでは、加熱されたグリセリンやプロピレングリコールの分解過程でホルムアルデヒドが発生し、吸引によって体内に取り込まれる可能性があります。

アクロレイン(Acrolein)の有害性

アクロレインは刺激臭を持つ無色〜淡黄色の化合物で、燃焼や高温加熱時に発生します。非常に反応性が高く、少量でも強い粘膜刺激

実験動物では低濃度でも呼吸器組織の損傷が確認されており、ヒトでも慢性的な曝露は気道の炎症を慢性化させ、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息症状の悪化につながると考えられています。

加熱式タバコの使用時には、植物成分やグリセリンの加熱分解によりアクロレインが生成され、微細粒子とともに肺の奥深くまで到達する可能性があります。

まとめ ― 「紙巻きよりマシ」でも「安全」ではない

加熱式タバコには以下のような特有の害があります。

  1. 加熱による有害化学物質の発生(ホルムアルデヒド、アクロレインなど)
  2. ニコチン依存は継続し、摂取量が増える可能性
  3. 長期的健康リスクが未解明
  4. 受動喫煙の可能性がゼロではない

つまり、「紙巻きより害が少ない」可能性はあるものの、「安全」とは言えないのが現実です。
これから加熱式タバコを始めようと考えている人、すでに使用中の人も、ぜひこの事実を踏まえて健康との付き合い方を考えてみてください。


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